日本と世界先進国のアスベスト被害者人口の比較について、以下のように説明できます。
アスベストとは、繊維状の鉱物で、建築材料や工業製品などに広く使用されていましたが、吸い込むと肺線維症(じん肺)、肺がん、中皮腫などの重い病気を引き起こすことが知られています。アスベストによる健康被害は、ばく露してから長い潜伏期間を経て発症するため、現在も多くの人々が亡くなっています1。 日本では、1975年(昭和50年)に吹き付け作業が禁止されたのを皮切りに、アスベストの使用規制が段階的に強化されてきました。2006年(平成18年)には、原則としてアスベストの製造や輸入、販売、使用が禁止されました2。しかし、アスベストの使用規制や禁止が行われた後も、日本のアスベスト被害者人口は増加傾向にあります。厚生労働省の統計によると、2006年から2019年までの14年間で、アスベストによる労災認定件数は約2.5倍に増えています3。特に中皮腫や肺がんなどの悪性腫瘍は急激に増加しており、2019年度には過去最多の1,264件となっています4。 このような増加傾向は、過去に大量かつ長期間にわたってアスベストをばく露した人々が潜伏期間を経て発症することや、解体・改修工事などでアスベストを含む建築物や工作物を取り扱うことで新たなばく露が発生することなどが原因と考えられます。 世界保健機関(WHO)などによる共同研究「世界疾病負荷(GBD:Global Burden of Diseases)」推計では、日本のアスベスト死亡数は2019年に約2万1千人と推計されています。これは世界で3番目に多い数であり、死亡率(人口10万人当たり)でも17番目に高い数です。GBD推計では、中皮腫だけでなく、肺がんや卵巣がんなど他のアスベスト関連疾患も考慮しています。 世界先進国の中では、イギリスやドイツなどではアスベスト死亡数や死亡率が減少傾向にあるとされています。これは、日本よりも早くアスベストの使用規制や禁止を行ったことや、アスベスト除去や処理などの対策を強化したことなどが影響していると考えられます。 以上が、日本と世界先進国のアスベスト被害者人口の比較についての解説です。参考になれば幸いです。 1: 1 2: 2 3: 3 4: 4 : [5] : 6 : 7 : 8 : 9 以下のグラフは、2006年から2019年までのアスベストによる労災認定件数の推移を示しています。横軸は年度、縦軸は件数です。色分けされた棒グラフは疾患別の件数を表し、黒い折れ線グラフは全体の件数を表しています。グラフから分かるように、全体的に増加傾向にありますが、特に悪性腫瘍(赤色)が目立って増えています3。 以上参考になれば幸いです。 1: 1 2: 2 3: 3 4: 4 5: 5 6: 6
0 コメント
あなたのコメントは承認後に投稿されます。
返信を残す |